闇−393

雪が降っていた。
思い出の中を、真っ白い結晶が埋め尽くしていた。
数年ぶりに訪れた白く霞む街で、
今も降り続ける雪の中で、
俺はひとりの少女と出会った。
 
1月7日
 
夢。
夢を見ている。
毎日見る夢。
終わりのない夢。
赤い雪。
流れる夕焼け。
赤く染まった世界。
誰かの泣き声。
子供の泣き声。
夕焼け空を覆うように、小さな子供が泣いていた。
どうすることもできずに、
ただ夕焼けに染まるその子の顔を見ていることしかできなかった。
だから、せめて・・・。
流れる涙を拭いたかった。
だけど、手は動かなくて・・・。
頬を伝う涙は雪に吸い込まれて・・・。
見ていることしかできなくて・・・。
悔しくて・・・。
悲しくて・・・。
大丈夫だから・・・。
だから、泣かないで・・・。
言葉にならない声。
届かない声。
「約束だから・・・」
それは、誰の言葉だっただろう・・・。
夢が、別の色に染まっていく・・・。
「うん・・・約束、だよ」