闇−258

柱と人間の話。
人間は柱にしがみついていました。
別にそうでなくても良かったのですが、そこにいたかったのです。
ある時、外の世界を目にしてうらやましく思いました。
しかし柱がいます。
結局我慢できずに柱から離れました。
人間は外の世界に足を踏み出したのです。
面白いものがたくさんある世界。
しかし人間が思っていたほど面白くありませんでした。
人間にはその世界の物を使いこなせなかったのです。
最後には元の場所に戻ることにしました。
戻ってみると柱はありませんでした。
柱は動くことも考えることもできました。
そうしなかったのは、人間がそこにいたからです。
居場所を全て失った人間は途方にくれました。
ある時同じ境遇の人間に出会いました。
二人は互いを居場所としました。
しかしそれは柱ほど良くはなかったのです。
 
この話には3つの主旨がある。
それを悟れば終着点が少し見えると思われる。